和歌山
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不安障害のカウンセリング

不安障害とは


 仕事のこと、健康のこと、家族のこと、そして将来のことなど、生きていく上での心配ごとを数えあげればきりがありません。こうした不安とまったく縁がないといえる人などいないでしょう。だれしもが持つこうした不安は、これから起こるかもしれない危機に対してあらかじめ心の準備をしておこうとする防御反応であり、そこから建設的な対処も生まれてきます。このように、不安自体は、何も問題視されるようなことではありません。
 しかし、なかにはそうした不安が極端に強くなってしまい、何か恐ろしいことが起こりそうでじっとしていられない、いつも気が張って落ち着かないといった心理的な緊張感に加えて、心臓がドキドキする、冷や汗をかく、手足がブルブル震える、目の周りがピクピクするなどの体の症状が現れるようになる人もいます。そうして、こうした不安がくり返し起こってくるため、そのことばかりが気になって、ついには日常生活に支障をきたすようになってしまうことがあります。

 このように心と体の不安症状が激しくなり、安定して日常生活を送ることが難しくなった状態を不安障害と呼びます。そしてそこには、下に説明してあるように、「パニック障害」、、「恐怖症」、「社会(社交)不安障害」、「強迫性障害」、「全般性不安障害」、「ストレス障害」といった状態が含まれています。

 こうした不安障害のカウンセリングでは、障害の種類によってポイントの置き所は異なってきますが、
基本的には、
   第1のステップ:不安の性質や症状が維持されるしくみを理解する
   第2のステップ:不安発作が起きそうなときの対応を身につける
   第3のステップ:自分が恐れているものに、安心して接していけるようにする
   第4のステップ:心のなかで自分に向かって言うことばを変えていく

 という4つのステップで構成されています。
 これらのステップをカウンセラーと協力しながら、無理のないペースで進んでいくことで、不安に支配された生活から徐々に抜け出すことができます。



不安障害の種類


● パニック障害

 パニック障害は、突然何の理由もなくに起こるパニック発作が中心となる状態です。この発作では、心臓がドキドキする、胸がしめつけられる、息がつまる、めまいがするなどの自律神経症状が強く体験され、そのため気が狂うのではないか、死んでしまうのではないかといった不安が沸き起こってきます。
 通常、発作は長くは続かず、自然に治まるのですが、数回そうした発作を経験すると、また発作が起こるのではないかという予期不安がたかまり、発作が起きそうな状況を回避するようになるため日常生活に支障をきたすようなことにもなります。
 たとえば、最初にパニック発作が起こったのが外出時だったとか、電車に乗っていたときだったといった場合、その後、また発作が起きるのが怖くて外に出られなくなったり、乗り物に乗れなくなったりするといったことがよく起こってきます。こうした恐怖は広場恐怖と呼ばれ、パニック障害のなかには広場恐怖を伴うタイプとそうでないタイプが区別されます。



● 恐怖症

 恐怖症は、特定の物や状況に対して強くて持続的な恐怖感をもつものです。 恐怖の対象となるものは、ヘビやクモといった特定の動物であったり、ナイフやハサミといった刃物であったり、針のような先のとがったものであったり、また、高い場所やエレベーターのような閉鎖された空間といったように、さまざまです。
 恐怖症の人たちも、こうしたものや場所をそれほどまでに恐れる必要がない、ということを頭では分かっています。つまり、自分の症状の不合理性を自覚しているのですが、それでもどうしようもない不安感が起こり、回避しようとするのが特徴です。



● 社会不安(社交不安)障害

 社会不安障害は、最近、社交不安障害と呼び方が変わりましたが、昔の呼び名である対人恐怖症というほうがわかりやすいかもしれません。社交不安障害の人たちは、人前で恥をかいたり、恥ずかしい思いをすることを極端に恐れ、そのような可能性のある場面に出ていくことを避けるようになります。 人と話していると話題が見つからず困ってしまう、視線が合うと目のやり場に困ってしまう、人前に立つと顔が赤くなったり、口ごもってしまうなど、この人たちが訴える困ることはだれしも多少は経験するようなものです。ただ、この人たちは、自分がそんなふうに緊張してしまうことを極端に恥じて、周囲の人の目から隠そうとするのですが、それがうまくいかないことで、さらに自己評価を下げるということになります。
 こうした対人的な緊張感は、普通、家族に対しては生じてきません。また、まったく知らない人のなかだと案外平気で振る舞えるという方もいます。この人たちが一番苦手とするのは、顔見知りではあるけど、親しくはないといった関係の人たちなのです。



● 強迫性障害

 家を出るとき鍵はしめたのだろうか、火の気は消してきたのだろうかといったことが気になり、何度も確認しないと気がすまない。ドアの取っ手に触るとばい菌で手が汚れたのではないかと気になり、何十分も手を洗わないと気がすまない。こういうふうに、何かのことが気になって抑えようもなく頭の中に浮かんでくることを強迫委観念と呼びます。そして、そうした強迫観念による不安を抑えるために特定の儀式的な行動を繰り返してしまうことを強迫行為と呼び、強迫性障害に特徴的に見られる症状です。
 症状が軽い場合には、ちょっとしたこだわりとして見過ごすこともできますが、こだわりが強くなると、強迫観念が起こってくるような状況を避けようとするために日常生活が制限されてしまったり、強迫行為に何時間も費やしてしまうので動きがとれなくなるといったことにもなります。



● 全般性不安障害

 全般性不安障害とは、仕事や、体調や、将来のことなど、あれこれのことが次から次と心配になって、イライラして落ち着かない。なんとか頑張ってこういう状態を乗り越えようとするが、ちょっと動くと疲れてしまう。普段から肩こりや頭痛がひどく、睡眠がうまく取れないので、仕事を休んでしまうようなことがある、といった状態を全般性不安障害と呼びます。です。こうした神経過敏で疲れやすい状態が、一進一退をくり返しながら長期間続くのが特徴です。



● ストレス障害
 ストレス障害は、生死にかかわるような事件や事故に巻き込まれるといった、強烈なストレスにさらされたために起こってくる反応です。そうしたできごとの直後に起こる急性ストレス障害では、強い不安感や過敏な状態、外傷を思い出すような場面や刺激の回避、外傷的なできごとの再体験(フラッシュバック)、現実感がなかったり、記憶が一部消えていたりすること(解離性症状)もあります。
 そして、こうした状態が一月以上にわたって続くようになると、外傷後ストレス障害と呼ばれるようになります。



不安障害のカウンセリング


 当センターで行っている不安障害のカウンセリングは、認知行動療法をベースにしたものです。障害のタイプによってカウンセリングの進め方の細部は異なってきますが、基本的には、@不安の性質や症状が維持されるしくみを理解する、A不安発作が起きそうなときの対応を身につける、B不安を引き起こす刺激に段階的に直面していく、Cあなたのものの考え方を変えていく、という4つのステップで構成されています。


第1のステップ:不安の性質や症状が維持されるしくみを理解する
 まずは、あなたの不安をしっかりと観察してみる、という作業からはじめます。どのような状況で不安が起こってくるのか、その強さはどのくらいか、そのときあなたはどのような対応をしているのか、そしてその後不安はどのようになっていくのかといったことを、記録をつけるなどしながらできるだけ客観的にとらえていくことになります。こうした作業を一人でやるのは難しいものですが、カウンセラーと協力しながらですと、意外と冷静に進めることができます。
 次に、そこから得られた情報をもとにして、現在、どのようにあなたの症状が維持されることになっているのか、ということをカウンセラーと共に検討していきます。そして、症状のしくみに適合したカウンセリングの進め方を、カウンセラーのほうから説明させていただきます。
 不安をコントロールするための第1のテクニックは、「不安をあるがままにして、観察する」ことです。


第2のステップ:不安発作が起きそうなときの対応を身につける
         呼吸と筋肉の緊張を手がかりにして、身体の感覚をコントロールする

 不安発作のとき、多くの人は、息苦しくて「呼吸が足りない」と感じるようですが、ほとんどの場合、呼吸のしすぎの状態になっています。そして、この過呼吸こそが、不安発作のときに起こるさまざまな身体感覚の原因なのです。
 そのため、呼吸のコントロールの方法をおぼえれば不安になってもその症状をかなり軽減することができます。さらに、筋肉の緊張をコントロールする筋リラクゼーション法をおぼえることで、心理的な緊張をほぐすことや、ストレスのレベルを下げることが可能になります。
 不安をコントローするための第2のテクニックは、「呼吸法とリラクゼーション」です。


第3のステップ:自分が恐れているものに、安心して接していけるようにする
 一度不安発作を経験すると、発作の引き金になるような状況を回避するようになります。そうすることで当座は不安発作を避けることができますが、長期的に見れば、回避しなくてはならない対象がどんどん広がって、ついには家から一歩も出られないとか、一人でいることが全くできないといった状態になってしまうこともあります。
 回避行動を重ねていくたびに、次に同じ状況におかれたとき、「この場を回避しなくては!」という気持ちがよりいっそう強くなります。そして、回避すればするほど、ますます強く回避の必要性を意識してしまうという「悪循環」が形成されてしまうのです。このようにして、問題は不安発作そのものだけでなく、「もし不安発作が起こったらどうしよう」という予期不安が四六時中頭から離れなくなり、「不安発作が起こりそうな場所はとにかく避けよう」とするため日常生活に支障をきたすようにもなってしまいます。
 不安をコントロールするための第3のテクニックは、こうした悪循環から抜け出ていくための方法で、自分が回避している状況に無理のない範囲で少しずつ直面していく、「段階的暴露」と呼ばれるものです。


第4のステップ:心の中で自分に向かって言うことばを変えていく
 あなたは、不安が起きる前は、頭の中で何を考えていますか? 不安発作の最中は? 不安発作のあとは、どうですか?
 じつは、私たちの気分や行動を決めているのは、客観的な状況そのものではなく、それをどのように受け止めるか、どのように意味づけるかという私たちの《認知》の仕方なのです。たとえば、何気なく聞こえてきた話し声そのものが不安をもたらすのでなく、そのとき浮かんできた「私のことを話してるのだろうか」という考えこそが、不安の源となるのです。にわかには信じがたいかもしれませんが、不安のもとになるのは何かの状況や刺激ではなく、そのときどのような考えが頭に浮かんできたかという、あなたの《認知》にあるのです。
 ですから、あれこれの場面であなたの頭の中に自動的にわき起こってくる考えを拾い上げ、そこに自分で自分の不安を大きくしてしまうような誤解や歪んだ考えが潜んでいないか検討し、もっと適応的な考えに置き換えていくという一連の方法を身につけることで、自分を不安に陥れる考え方のパターンを修正していくことが大切です。
 不安をコントロースする第4のテクニックは、あなたの誤った考えに疑問ぶつけ、より客観的で適応的なものに変えていこうとするもので、「認知再構成法」と呼ばれるものです。